コダカのスタイリストデビューまで目前となっているこのごろ。
アルチアでは試験で言うと
スタイリストとしてデビューしてもらうまでに
やらなければいけないことは当然山ほどあるのですが
試験としてデビュー前に設けているものは6つの項目です。
・カット
・カットカラー
・カットパーマ
・ヘアセット
・ワインディング
・ブロー
です。
切羽詰まりながら必死に1つずつ進めているのが今のコダカなのですが
(必死にスドウは見に焼き付けておけ。きっと自分の時に楽になるぞ)
なんて言えばいいのでしょう。
別に特段、試験を設けなくても
細かく手取り足取り教えて、出来るようになったら
「はい!明日からもうお客様切っていいよ!」
というのもアリだと思いますし、そんな美容室もゴマンとあります。
これも、自分のまた考えなのですが
あえて試験。という形式を設けると当然のように【緊張感】って
生まれるじゃないですか?
合格できるかな?練習の成果をちゃんと本番で発揮できるかな?とか。
余談ですが私の10年以上前アシスタント時代に
昇級試験を受ける際のジンクスみたいなものがあって
《試験の2時間前にリポD飲めば試験で本気出せる》説。ってやつで。
なんの根拠もないこの説に、同じ店の先輩も自分もみんな乗っかっていて
営業後何かに試験を受ける日は、どんなに忙しい営業時間中でも
スタッフが協力し合い「ほら!今日お前試験だろ?今ちょうど2時間前だし仕事変わってやるから裏行ってリポD飲んで来い!」みたいなことを真剣にやっていましたね(笑)
それでも落ちるときは落ちるんですけどね…。
まぁ、話を戻し
その緊張感ってとっても大切だと思っていて
自分なんて14年美容師やっててもいまだにどのお客様でも
ご来店頂いて「今日はどうしましょうか?」といった
お決まりの会話が始まるその時はかなり緊張しています。
お客様と美容師という関係性である以上
なぁなぁになってはいけないと思いますし
何年間も担当したことのある常連様でも毎回新しい提案をして
常に最新のキレイな状態を提供したいと思っているからです。
だからこそ緊張します。
この新しい提案は受け入れてもらえるだろうか?
そして喜んで頂けるだろうか?
毎日毎日その繰り返しです。
で、まぁスタイリストになる前のその6つの試験も簡単な合格設定ではないので
(だって合格してスタイリストになったらアルチアの看板しょってハサミ使う訳ですから)
緊張しているはずなんです。
だからこそ合格出来たら嬉しいと思いますし
残念ながら基準に満たず不合格であれば練習してきた時間に比例して悔しいはずなんです。
このブログでは試験の中の【ブロー】という課題を取り上げてみるのですが
あ。ちなみに、美容師さんがこのブログみて「何、時代錯誤な試験設けてんだよ?」と思っても
茶々入れないでくださいね。僕はとっても必要な技術の1つだと思って敢えて試験課題にしているんです。
日本の将来を見据えてこそ。の試験です。
ブローとひとえに言いましても
アルチアの試験課題の【ブロー】はこんなものです。
こーんなグリッグリにパーマかかった方を
じゃやじゃーん!とこんなデザインに仕上げるための【ブロー】です。
まぁ、知ってはいるんですよ。
今の時代の主流ではない。そんなことくらい。
でもですね。
このテクニックが必要な時が必ず来ます。
必ずです。
65歳問題。というやつです。
年を重ねれば髪は細くなります。艶も減ってきます。
若々しく見せるためにはボリュームが必要になってきます。
そこで、必要な技術が【ワインディング】という技術を駆使し仕上げるパーマ。
写真は実際にコダカが巻いたものですね。
で、薬液を実際に使うとこうなるんです。
ここからドライヤーとブラシを使ってフンワリと若々しい見た目に仕上げていきます。
お察し頂けましたか?
このデザインは若者向けではありません。
ミセス用です。
さらに言うなれば結構年配の方向けのデザインです。
私は。
必要だと思い試験課題にまでしています。
サクッとコダカは2回、落ちました。
アルチアでは技術者(スタイリスト)が2人。
ドヌマとヤヌキです。
チェック項目を設け、2人の中では話し合うことなく合否を判断し
2人共に合格であれば晴れて課題クリアとなります。
ヤヌキがイイね!合格だよっ☆ と言ったところで
ドヌマが難癖つけてダメだね!不合格だよっ☆ と言えばその試験は不合格なのです。
そうするとコダカは落胆した顔と「クソっ!ドヌマのくせに!」と思った顔を混在させながら
こちらを一瞥するのです。
そしてドヌマが「は?何か文句あんのかよ?ぐうの音も出ないくらいにやればいいだけだろ?」的な顔で一瞥を返すのであります。
そして、無言の会話が終わった後「くそー!クソーーーーーっ!」と背中で語りながら去っていくのです。
そんなこんな(全てはドヌマの脳内会話)を2回繰り返し
晴れて先日、無事にブローの試験課題を合格出来たんです。
ブローとは1つひとつの巧みな技術の積み重ねの先に仕上がるものです。
根元から毛先まで均一に乾かし艶を与え順番に一層ずつの積み重ね。
1つでも半端に先に進めば結果は美しくないのです。
先に落ちた2回とは違い
合格した時の試験は最初から安心して見ていられるものでした。
それでも、前述したとおり1つでも半端な状態で先に進んではおしまいです。
試験に与えられた制限時間は微塵の余裕もないくらいギリギリなものです。
全ての手順を練習通りにこなしていかなければ合格は無い試験です。
ドヌマの脳内では走馬灯のように記憶が甦ります。
「いいか?ブローはまず根元だ。そこが肝心だ。」
「根元、根元。中間、中間。それから毛先だ。」
それを見事に忠実に再現しています。
あんなに言うことを聞かなかったあのコダカが教えたとおりにやってる!?
なんて言えばこの気持ちが伝わるでしょう。
年のせいになんてしたくないけど
だけど、涙がでちゃいそうになって。
真剣に試験を受けているそんな最中にそんな醜態をさらすわけにもいかず
必死にこらえた訳ですが。
練習を頑張ってきたのはコダカで。
たいして付き合って見てあげられなかったかもしれないけど
この日は特別込み上げるものがあったんです。
いやだなー。
やっぱり年なのかなー。
このままいったら最終試験、合格言い渡す時どうなるんだ俺…。