「サロン見学に来ました小髙と申します。」
彼女との出会いは2013年の終わりか2014年の初め頃。
アルチアを開業してしばらく1人でやってくつもりだったところに
美容学生時代の恩師から1人の生徒を紹介してもらい
「きっと土沼くんと合うと思うから」と。
彼女はアルチアにやってきました。
出会って数秒で一緒に働きたいと思っていました。
会話なんてまだ挨拶を交わしただけで。
彼女の身に纏う高貴と言えばいいのか禍々しさと言えばいいのか
今まで出会ったことの無い容貌をしているその佇まいに魅かれてしまいました。
「ねぇ?君ここで働きたいんだよね?めっちゃ人寄せ付けないオーラ放ってるけど…。」
みたいにキリキリと研磨されたような目つきと
顔面に数十個のピアス。
美容室の見学といえど、その恰好どうなの(笑)?
とは思いましたが。。。
絶対に自分は自分。
自分こそ正義。
我は女王なり。
さすがに言い過ぎかな(笑)
しかし、そんな印象を出会って数秒で僕に与える彼女はやっぱり特別で。
まさか自分の20歳の青春再送放送!?みたいなデジャヴを見ている錯覚に襲われました。
もう見たくもない学生時代のアルバムが無理やり目の前にきた!?みたいな。
自分の10年前が目の前にもう一回現れたようで…
どういうわけか僕は魅かれてしまいました。
そして
まだ面接という訳ではなくサロン見学だったはずなのに
質問に次ぐ質問の嵐。
すごい色々聞いてくれるけど、まだこの美容室作って数か月だし
1人で働いてるからさ、そんな聞かれてもそんな規定も何も…。
とは心の中に留めて、自分なりに真摯に答えました。
もう、この時点でイニシアティブは彼女だったのかもしれません。
それでも最初はハリネズミのような空気を纏っていた彼女も
話してみると、とても社交的で「何だ全然俺と違うタイプじゃん」と思い
色々な質問の応答が終わる頃
「ねぇ。うちで一緒に働いてよ。」と
お願いするように誘ったのは僕の方でした。
キョトンとした彼女は
「はぁ。…考えてみます。」
そう手応え無く答え、帰っていきました。
そして数日後。
「面接、受けたいんですけど。」
と連絡をもらい採用に至りました。
あ、手応えあったんだ。…あの返事で(笑)?とは心の中の声です。
彼女との長い戦いの日々この時すでに始まっていたのかもしれません。
彼女と一緒に働けたら、この先が面白くなる予感しかありませんでした。
そして捉え方次第なのでしょうけれどその予感は大きく当たっていました。
そんな彼女のこの5年間を今回はここで紹介させて頂きます。
まず、先に言っておかなければいけない話が1つ。
小髙はアルチアに美容師になりたくて入社したのではないという事実。
(自分は知った時、衝撃で時が止まりました)
彼女は6歳の頃から今までずっとダンスを続けています。
聞く限り、とても多くの習い事をしてきたようで
・ピアノ
・習字
・バレエ
・ドラム
・学習塾
・その他諸々
それらをバッサバッサと辞め(笑)
そして今でも続けてきたのが唯一ダンス。
そう、彼女は
踊れるダンサー美容師になりたいのではなく
【髪の毛が切れるダンサー】になりたいようなんです。
いつか呑みながら、そんな彼女の夢を聞いたときは衝撃でした。
本当に何て子を雇ったんだろう…と。
そして雇用主にそれを言える彼女の度量に驚かされました。
多くの美容師が日々の営業後に夜中まで煌々と灯りをつけ
トレーニングを積むなか
彼女は営業終わりと共に元気よく
「お疲れ様でしたー!」と気持ち良く帰っていきます。
そして翌朝には
「っはようござーす!(きっと、おはようございますのこと)」
「あーっ!筋肉痛ぅ!!!」と出社します。
言っていることも、挨拶の仕方も
ツッコミどころしかないそんな毎朝なのですが
そんな彼女が良くて雇った僕は彼女の行く末が楽しみ過ぎて
(見放しているわけでは決してありません)
初年度を過ごします。
いっても、自分も新米美容室経営者。
何が正しいかなんて分からず、全てが手探りで日々を頑張っているだけでした。
アルチアは小髙と共に作ってきたサロンと言ってもいいでしょう。
月々のイベントは全て彼女と共に決めてきました。
彼女の若いアイディアを採用し、それが受け
会社で言う利益の様な数字は少しずつですが5年間、落ちることなく上がり続けてきました。
営業中は全力で仕事に勤しんでくれていました。
社交的な彼女はすぐにお客様と仲良くなり
僕は黙々と髪を切り、横でひたすら小高がお客様と楽しそうに会話をする。
お客様からもよく「2人の掛け合いは面白い」と言って頂いてきました。
基本的に僕が小髙から突っ込まれてばかりでしたけど。。。
(あまり小髙は僕を持ち上げるということをしない)
(本心じゃないのに褒められても嬉しくなくないですか?的な事を言われたこともある)
人数が少ない美容室だからこそ
アルチアのサロンの空気はとても大切だと考えてきました。
空気は人が作るもの。
だから、小髙には楽しく働いてもらわなければいけません。
もともと人と関わりを持つことの少なかった自分は
人の喜ばせ方・楽しませ方もろくに分からなかったため
取り敢えず、通り一遍のことを試してみようと思いました。
仕事が終わりダンスが無さそうな日は
「ご飯食べに行くよー。」
日曜の夜は
「飲みに行くよー。」と。
彼女は予定があれば躊躇なく
「あ、無理っすわー。もっと早く誘ってくださいよー。」と断り
予定がなければ
「え?あざーす。高いとこ(きっと値段だと思われる)行きましょうっ☆彡」
とその傍若無人には目をみはるばかりでドキドキが止まりません。。。
僕が新入社員の頃、当時の社長によく飲みに連れて行ってもらっていたころ
冗談じゃなく10回以上聞かされていた話なので、よく覚えているのですが
「俺(当時の社長)なんて翌日、彼女とデートの予定があっても先輩に
お前明日何かあるの?って聞かれたら即答で何もありません!何かありましたか?って言って
翌日、先輩の用事に付き合ったもんだよ。」
と繰り返し繰り返し言われてきました。
もう、これは俺にもそうしろ。ということだな?と誰が聞いても分かるフリのような
話し方だったので、同じように社長に飲みに行くぞと言われれば「はいっ!」と答え
お前明日予定あるのか?と聞かれたら(実際無いことの方が大半でした…笑)
「ありません!」と答えていました。
昨今では「昔の時代はな。。。」と話すことがナンセンス。
だって過去と今は違うじゃない。的な空気が主流ですが
僕だって今の人生を【1回目】生きているだけです。
今。だけを見れたらいいのでしょうか?
でも、今の僕を作ったのは言うまでもなく過去の経験を過ごしてきた僕です。
過去の積み重ねでしか今に行きついていないのですから
なかなか今ど真ん中を生きている小髙についていくのは必死なんです。
でもきっとこの時間軸のズレを寄せていくのは上司側から歩み寄るべきなんでしょうね。。。
各世代の視点を勉強できる良いチャンスと考えることにしましょう☆彡
これが10歳下ということなんですね。。。
まぁ、過去を愚痴っても仕方ありません。
引き続き小髙の良い点について語っていきましょう。
ここまででお気づきの方も多いと思いますが
気になる彼女の口ぶりは誇張10%、事実90%です。
入社当初から、言葉遣いは正してきてはいるのですが
「はーい。さーせん!」と元気の良い返事ばかり。
お客様の前ではしっかりしてくれているのでギリギリですが
本気で何とかしなくてはと思い始めます。
そんな小髙のパーソナルな心の内側を5年の付き合いで
モニタリングしてみますと
・女はつよくないといけない
・そう思っている私は可愛げがない
・男ウケとか興味ないし
・万人ウケもしなくていいし
・上目遣いして人に頼る女とかマジFU〇Kだし
・分からないことなんて男に聞くよりGoogleでしょ?
本当にねー。
ここに愛嬌があれば。。。
と思って早5年ですよ。
…もう無理かもしれませんね(笑)
だって確実に彼女の人間形成の時期終わってますから ( ゚Д゚)アワワ
そんな彼女。さらに面白いのが先ほども少し書きましたが
上司である僕をヨイショして持ち上げる気が皆無であるということ。
常に対等な立場でモノを語ってきます。
だからか
3,4年前?一緒に外部講習に行った際に
隣に座った40代くらいの初対面の女性美容師さんと
小髙が何やら盛り上がり話していて
(本当に初対面の人と盛り上がれるとか尊敬でしかない…)
左、女性美容師
中、小髙
右、土沼
みたいな感じで座っていたのでボーっと隣の盛り上がりに入る訳でもなく
聞いていたのですが突然聞こえてきた女性美容師さんの言葉に耳を疑いました。
「ところで貴方、経営者さんなの?」
小髙「えっ。。。」
土沼「えっ!?」
土沼、ここで初めて声をあげることに(笑)
そんな小高にオーラを感じたのでしょうか?
確かに彼女は実年齢よりも年上に見られることの方が多いですがここまでとは…。
まぁ。
そんな先輩を見続けても須藤がそれに影響されず
しっかりと僕たち2人を立ててくれるのはありがたい話で。
そうそうコレコレ!先輩と後輩ってこうだったよね。ってやつを須藤は思い出させてくれます。
先日、僕のLINEを開くと何ともこれらを表してくれる面白い
画面があったので思わずスクリーンショットでした。
この返事の対極さたるや。。。
須藤。
君はそのままでいいんだよ?
先輩はアレちょっと特別だから。
でも先輩も良いところたくさんあるから。
そういうところしっかり見て成長して下さいね?
書いてて心配というかが
土沼って経営者として弱すぎじゃね?
なに、好き勝手やらせてんの?
と思われないかどうか。
まぁ、何を思われてもどうも思わない
(性格上、人から何を思われても気にならない)のですが…。
ひょっとしたら気にした方がいいレベルなのかと思い
一応、心配のていで書いてみましたが。
好き勝手に小髙が過ごせているかどうかは直接
彼女自身に聞いてみて欲しいと思います。
ここまでの書き方から察するに「アルチアまじ余裕っしょ!」と
言うかと思いきやきっと反して
「厳しすぎてマジ辞めたい」
とか答えると思います。
入社と同時に
彼女の自由気ままな性格はそのまま伸ばし
社会において働くとはどういうことかしっかり教えていくことが
自分の与えられた責任なんだろうな。と思い
何回も何回も強く必要な時は注意をし
何回も何回でもお互い受け入れらないことがあれば
何時間でも話し合って来ました。
小髙の尊敬すべきところは
向上心の塊で、常に自分を人としても知識としても行動としても
上げ続けることに喜びを持っているところ。
(だから東京での仕事があんなに楽しいんだと思う)
自分の意思を強くしっかりもっているところ。
人から何を言われようとも自分の考えと照らし合わせ
沿わなければ決して言われたことを自分の中に取り入れないところ。
決して彼女は周りに流されたりしません。
そんな彼女だからこそ手を多く焼いてきました。
(自分がまだまだ未熟なことが大きな原因です)
こちらも会社として譲れない時もあります。
基本的に自分はあまり感情を持たないですし表にも出すタイプではないので
譲らないものと言えば「人として」・「組織として」
といった一般的なことでしかないんですけど。。。
これがまた難解で。
どう伝えても
「分かりません!私納得できません!」と返されることも多々あり
うーん。分からなかったとしても組織として聞き入れてもらうしかないんだけどなー。
なんてこっちで思ったところで彼女に伝わることも無いので
さらにこれも新人経営者に与えれれた試練の1つなんだと思います。
須藤しかり、これから入社してくれるかもしれない未来の子と
接することで自分の気持ちがこれから少しずつ伝わってくれたらいいなとも思います。
手がかかる子ほど可愛いって言いますけど
全く思わないです。
素直な子が可愛いなって思います。
「お願いします」って言ったら間髪入れず「はいっ!」と答えてほしいです。
きっともうここは望んでも…。なのかもしれません。
それでも小髙はいつしかアルチアで欠かせない存在になってしまいました。
スタイリストデビューを経てまだ1年たらずですが多くのお客様から
支持を頂いています。
ずっとずっと楽しそうに話しています。
彼女の周りはいつでも明るいです。
そして髪がとても綺麗です。
お客様から「いつも髪綺麗ですね」って褒められてます。
彼女は半分照れながら半分ドヤりながら「ま、色々頑張ってますから」と答えますが
そのメンテナンスをしているのは俺だ!と心の内側で叫びながら
大人な僕は笑顔でウンウンと頷き聞いています。
もはやこのブログの終わらせ方が分からなくなってきました。
小髙を語るときに
褒めることはつきません。
突っ込むところもつきません。
きっとそれは日々増え続けるのだと思います。
だから、また明日になれば
面白エピソードがもう一つ増えていることと思います。
それは次回アルチアで紹介しますね(´∀`*)
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました!
(小髙、入社当日の写真を最後に添えて)