どうして美容師はこうも喋りたがりなのか

どこの美容師も、かしこの美容師もよーく話す人が多いですよね。。

口から生まれたんか?と思うような美容師も少なくはありません。

 

皆さんは、そんな美容師に対してどんな印象を抱いているでしょうか?

話すのがとっても好きだから嬉しいわ=◎

話すのが苦手だから美容師さんに積極的に話してもらえると助かるな=〇

口下手だからおしゃべりが苦手だな=△

静かにしたいのに五月蠅いな=×

 

僕も美容師になる前は髪を切られながらの会話がとても苦手で

無理やりテンションの高い空気感、中身のないやりとり、

全く盛り上がる気配をみせないのに頑張ってそれでもトークを繋ごうとする感じ

なんで、そんなに話したがるんだろう?と当時は思っていました。

 

美容師になった後も変わらず、話すのは億劫で

新人当時はよく上司から「しゃべれ!」と叱られていました。

僕の心の中では

・天気の話なんてどうでもよい

・今日は休みですか?って休みじゃなかったらここに普通いないだろ

・仕事は何ですか?これからどこに行くんですか?って職務質問かよ

なんて思ったり思わなかったり(昔も今も)ですが

 

今では、それなりに話す方になってきた土沼がどうして心変わりをしたのか

美容師側の心の声を今回は聞いてもらえたらと思います。

 

美容師は接客業の中でもお客様と対峙している時間が群を抜いて多い仕事だと思います。

必然的に話しをたくさんせざるを得ない状況なわけですが

いちど、それらは置いておきまして。

 

仕事としてより良いヘアスタイルを作るために

お客様の日常の生活を配慮したいという思いが少なからずあります。

そのヘアスタイルはただ今日可愛ければ、素敵であれば良いわけではないからです。

例えばお休みを使ってご来店していただいた、そのお客様が仕事の日は

お堅い仕事なのか、カジュアルファッションでもよい仕事なのか

それぞれTPOに合わせてオススメしたいヘアスタイルの幅は大きく変わります。

 

ここで私たち美容師は難しい問題にぶち当たります。

前述したように、より良いと思われるヘアスタイルを提案するために

事前にお客様の情報を可能な限り知り得た状態が理想なのですが

初めましてのお客様においては、初対面でいきなり根掘り葉掘りと

聞いていくのは不躾なので、他愛もない雑談から情報を聞けたらと試行錯誤しますし

カットの途中でも方向修正が可能であれば途中からオーダー以上のヘアスタイルをもってして

お客様の満足を引き出せるかもしれませんし

次回以降の良い提案につなげられることもあります。

 

また、私たち美容室・美容師が頂く料金はヘアスタイルを完成させたことだけによるものではないと思っています。

アルチアに滞在していただく時間全てに価値を感じてもらえたら幸いと思っていますので

もちろん、お客様に応じてお話しさせて頂く種類は変われど

大切な時間に変わりはありませんので常日頃スタッフには会話の種類は考えましょうと伝えてあります。

 

最初の方にも書きました通り

「今日は天気が良いですね」や「この前のお休みにどこどこにご飯いって美味しかった」など

決してこれらが駄目だと言っているわけではないのですが、数ある会話の引き出しの中で

そのお客様にとって最善手だったのか?というところを考え続けてほしいんです。

少なくとも会話の内容がお客様の中で記憶の残るようなものであってほしいですし

ただ漫然と流れ去る時間には決してなってほしくありません。

言って、これらはとても難しいので日々反省しているところでもあります。

 

そして美容師の中には土沼のように元々会話を不得手とする美容師もいれば

小高のようにしゃべることをやめると死にかけてしまうマグロ系美容師も多くいます。

やはり、私たちは機械ではありませんので個人によって得手不得手や趣味嗜好も異なります。

なので一度担当してもらって空気感や提案してくれるヘアスタイルの好みが合うようであれば

次回、指名していただくのが効果的かと思います。

お客様の中では「スタッフの皆さん全員好きだから特に指名はしなくてもいいわ」と感じる方

「私なんかが指名するなんておこがましい」と感じる方

色々な考えはありますが私たち美容師は所詮一人の人間ですので。

『〇〇さんでお願いします』と言って頂けたらそれ以上嬉しいことはありません。

求められたら乗算で頑張ってしまう類の職業です。

頭の片隅に留めておいてもらえたら幸いです。

 

平均的に美容室は2・3か月に1度訪れるでしょうか。

そして滞在時間は1~2時間ほど。

大人になると仲の良い友達でも定期的なペースで会うこともお互いの事情から難しいのではないでしょうか?

そう考えると、必然的に私たち美容師はとても親しい関係性の間柄のように

会って会話を交わすこととなります。

そう考えるとやっぱり、心地よい関係性の担当美容師に出会うことは

とても大事なことと思えます。

 

現在、私の美容師人生はこの春で18年目。

一番長いお付き合いのお客様(親族・友人除く)はもうかれこれ16年。

小学生だったお客様が進学・就職をするのはざらですし

あの、夜な夜な悪い遊びをしていたお客様が結婚されたり家を建てたりしています。

感慨深い以外の何物でもありません。

楽しい事だけ毎回話している訳ではなく辛いこと大変な事なども

数えきれないほど、相談を打ち明けられてきました。

そう考えると、幼少期から人間関係が希薄なまま成長してきた僕なんかは

実際の友達よりもお客様の方が付き合いが長くなってしまうかもしれません。

それは仕事が楽しくて仕方ないわけですね。

より感慨もひとしおです。

 

お客様の成長を日々、見ているようで

実際に人間として成長させてもらっているのは僕なのかもしれません。

 

美容師は人が成長するためのスキルが全て学べると言われています。

・技術習得の練習や勉強による自己研鑽

・上下関係の重要性

・接客による人間関係の構築

 

僕はまだまだ未熟(当たり前)者です。

お気づきでしょうか?

毎度、美容師はこうも喋りたがりなんです。

(自分の場合その出口が文章というだけ)

営業はお客様に合わせて話をコントロールしますので

こんな文章の場では思う存分吐き出させてください。

今回も読了ありがとうございました。