美容師は【器用】なのか

「こんなカットが出来るなんて、ほんとに手先が器用なんですね!」
「いや、手先が器用ってわけではないんですけど…」

この会話、10万回はしました。
(嘘です。でも100回以上はしてます)

「いや器用だろ」「謙遜すんなよ」
そんな心の声も聞こえる気がしますけど

ごめんなさい違うんです!
ほんとに、手先が器用ってわけではないと思っているんです!!

冷静に考えてあんなにミリ単位でカットをしている私たち美容師はみんな、狂気の沙汰です。
客観的に見て、美容師は手先が器用です。事実。

でも、私も含めて知る限りほとんどの美容師は「自分は手先が器用だ」と思っていないんですよ。

嘘をついているわけでも、謙遜してるわけでもないんです。
昔、TVチャンピオンで放送されていた『手先が器用選手権』を覚えている人はいますでしょうか?(いたとしたら多分同年代です)
コインを縦に積んだり、小さい穴に糸を通したり、トランプタワーを作ったり、人間離れしたことをやってのける選手権です。
あれはほんとにすごかった。自分だったら手が震えて絶対にできない。

なので、
「それと比べると、自分なんて全然…」
と私は思っています。

美容師も集中力や根気が必要なのは確かですが
カットなんてものは、先輩が懇切丁寧に切り方を説明して教えてくれるので
まずは、ただ見た通りに教えてもらったとおり順番に切るだけです。

だから、
「いや、教えられた通りに順番に切ってるだけだし…」
です。

でも、お気づきの通り手順通りに切るのって全然簡単じゃないんですよ。

自分がスタイリストになりお客様の要望を叶えるには
それ専用の設計(展開図を考えたり)をしたり
髪をいじくりまわしたり、鏡を視力が落ちるくらいジーッと見て似合う髪型を考えていったり
切るのに最適なハサミを選んだり
本番の”切る”作業以外の作業がてんこ盛りです。

なので、そもそも手先が器用なことがお客様を担当することにそんなに大きな影響を与えないと思っています。
それ以外のことの方がよっぽど大事、という考え方ですね。
建設業界では「段取り八分、仕事二分」なんて言うそうですが、同じ感じだと思います。

でも実際は、手先の器用さはお客様の仕上がりに超超超影響します。しまくります。
実力差が如実に出ますからね。上手い人は本当に上手いです。

どういう訳か、上手な美容師さんほど謙遜する方多いですけど…笑
自分も褒められすぎるとニヤけながら「いやいや」なんて言ってますけど

 

褒められたら「ありがとう」でいい 嬉しいときは嬉しくていい
口癖のように謙遜してばかりじゃ 心が痩せちゃうぜ

SUPER BEAVER『アイラヴユー』の歌詞
素直に「ありがとう」って言おう?スーパービーバーもこう言ってるし。

 

次に、美容師に担当してもらっていて「なんか褒めたいな」と思った皆さん、
褒めるのは”手先が器用なこと”ではありません!
残念ながらその先にはめんどくさい応対しか待ってません。
美容師が求めているのは、”その髪型・髪色がいかに素晴らしいか”褒められることです。
美容師のことはいつも髪をいじくっている身体の弱いボディビルダーだと思ってください。
「キレてるよ!!」
「腹筋6LDKかい!!」
「肩にちっちゃい重機乗せてんのかい!!」
みたいなやつです。

つまり、例にあげてみるならば
「この髪色、めっちゃラッセンですね!!」
「後頭部のシルエット、真球みたいにきまってますね!!」
「この前髪、モーツァルトの楽譜のようですごい!!」
です。(多分)
意味なんて無くたっていいんです。

「いやいや、そんなの難しいって」というあなた。
大丈夫。多数派です。

わからない時は「かわいい」か「かっこいい」と言いましょう。
それも判断つかない場合は、とりあえず「すごい」と言っときましょう。
さて、ここまで長々書きましたが、美容師は褒められたら大体なんでも喜びます。

「いや、私なんてそんな……」などと言ったからといって、喜んでいないわけではないのです。
ゴニョゴニョ言いながら内心ニヨニヨしてるんです。
気にしないでください。
ただめんどくさい人達なだけなんです(私含めて)。

気軽に褒めてくださいよろしくお願いします。

以上、美容師の変な口癖「いや、手先が器用ってわけではないんですけど…」でした。

いい加減直さないとなぁ…。
いやでも、ほんとに手先が器用ってわけじゃないんだよなぁ…(まだ言う)

あ、でもウチの新進気鋭「竹中結唯」はめちゃくちゃ器用ですよ。
1回教えるとすぐに出来るようになっちゃうから
嫉妬しちゃうんですよね(グチグチ)

スタイリストデビューに向けて頑張ってますので応援よろしくお願いします!