美容師の仕事のコツはなんだろう。
と考えることがある。
それは、もちろん好きで20年以上も続けているわけだから
この先も長く続けたいという気持ちがもちろん多くあり
自分の姿に憧れてくれる方がいればより仕事も楽しくなるわけで
学生がお客様で来てくれたり
小さいお子様をもつお客様の保護者の方たちには
ほぼ必ず「美容師って良い仕事ですよ」と勧めるのだ。
ただ、決まって返される言葉が一様で
「わたし(うちの子)、不器用なんで」と。
そうか、確かに美容師は刃物を使う仕事だから
手先が器用そうに見えていて不思議ではない。
でも、考えてもみてほしいが美容師の人口を考えたときに
およそ器用な人ばかりでは物理的にないはずなのは明白だ。
国家試験ですら、筆記試験だけでなく
カットや手先を細かく必要とする技術課題があるのだが
美容学校はだいたい合格率100%を目指し、さらにそれを売りにし
学生を増やそうと躍起になっている。
手先の器用さも有るに越したことはないが
言いたいのは美容師になるために必要なのは
それだけではないのではないか?ということだ。
アルチアでもサロン見学や、学生に求人活動をしているときに必ず言うことがる
「アルチアでは手先の器用な人は求めていません」と。
敢えて言うこともないのかもしれないけれど
私は手先も生き方も器用だとは思っていません。
じゃあ、何が美容師を続けるうえで必要なのか。
もちろん「それ」は一つだけではないだろうし
何が大切なのかは美容師の数だけあるだろう。
だから、今回ここで書く内容は自分自身が常日頃
気にかけているっていうことだけ書こうと思う。
自分は日々の仕事で大きく大切に考えていることが2つあって。
1つ目は「目の前の人は、今この瞬間どうしたら喜んでくれるのか」を
色々な角度からずっと考え続けている。ということ。
2つ目は「違和感」を消し続けること。
この2つだ。
手先の器用さは2つともやはり関係ない。
どちらも客観的にみて考えたら「めんどくさいなぁ」と正直思う(笑)
1つ目に関しては、お客様との会話で常に頭に在り続けるもので
基本的に自分の営業中の会話はゆっくり話すようにしているのだけれど
それは、会話のテンポ良いラリー中にでさえ
今、お客様が言ったこの言葉には
①それいいですね!
②それは違うんじゃないですか?
③新しい考えですね…
④竹中さんはどう思う?
⑤…。(答えずに考えてる感じ)
例えばこんな選択肢があるとして、どの選択なら次にお客様が答えやすくなるのか
会話がよりはずむのかを1秒もかからずに頭の中でそれぞれのシュミレーションをして
例えば①それいいですね!が口から出てきている。
めんどくさいなぁと思いますよね。
でも、これが面倒では全くなく地で出来ているのは
幼少期の特殊な生活環境があったからかもしれない。
自分の生い立ちに関してはここで話すにはまた違うので書かないが
興味がある方は土沼の幼少期時代がここに
このめんどくさそうな脳内シュミレーション後の会話をもうずっと続けている。
この1つ目は自分でも若干、特殊だなと思うので
スタッフにも勧めたりはあまりしない。
仕事中の話す内容や話し方まで強制されたら気持ち悪くて仕方ない。
2つ目の違和感を消すというのは
社員にもよく伝えている点で
例えばカットで言えば
似合わせ=バランスをとる
ということに近いので世の中でよく言われている「黄金比」であったり
世間から支持を多く得ている美術物であったり建築様式には
何かしらの良しとされている理由があるので
「感覚」や「センス」などの主観だけに頼ってデザインを構成するのではなく
前述した絵画や造形物などをよく見て研究して
良いバランスと目の前のお客様のヘアスタイルはどこが今の時点で
「違和感」となっているのだろうを削っていく作業だというシンプルな考えかたと
視覚も視覚で目の前のお客様のヘアスタイルだけでなく
仕事中は両目に入る端のすべてにまで神経を研ぐので
輪ゴムが一つ落ちているなだったり、あの隅っこの髪の毛が掃ききれていないなだったり
電球が切れているなとか、踊り場の観葉植物の葉っぱ落ちたから拾ってこなきゃとか
朝のキレイな店内からの違和感にいち早く察知できなければ
お客様の一瞬の表情の曇りには気づくことは出来ない。
たとえば、お客様も多くは私たち美容師に気をつかってくださっているので
全員が正直に気に入らないところをストレートに言えるわけではない。
それでも人は訓練しなければ完璧なポーカーフェイスを装うことなどできないので
一瞬、本当に一瞬だけ表情が曇るときはある。
そのわずかな一瞬の曇りに気づき、先回りして一言声をかけられるかどうかが
プロかどうかの分かれ目になるのだと思う。
これは聴覚や嗅覚も例外ではなく
遠くで何かが落とされた音がしたらすぐに取りに行ってあげたり
一瞬でも焦げるような匂いがしたのであればお客様よりも早く気づき
ドライヤーを止め交換してお客様に不安な気持ちにさせるべきではないし
仕事中は本当に隅々まで神経を張り巡らせている。
でも、売れている美容師は一様に同じようなことをよく口にしているし
これらの全てではなくとも共感してくれる同業の美容師や
サービス業の方は少なくないと思う。
言ってしまえば全て自己満足の世界に過ぎないのだけれども
だからこそ良いサービスと技術を提供できている自信があるし
だからこそ
日々、向上心を持ってお客様を迎えられるし
後輩に指導もできている。
初めにも言ったように
美容師にとって器用かどうかは些末な問題で
どれだけただただこの仕事が好きで
人のために何かを尽くすことが喜びに感じられて
ちょっとだけ神経質な人はとっても向いていると思うのです。
ガサツな人だって愛嬌があったり
上回る別のものがあれば良いと思う。
最後に、言いたいのは
決して私は当たり前のようにサヴァンの類いではないけれど
得てして何かに偏っている人は
何かを取りこぼしてしまう、わかりやすく言うと欠陥しているので
私に関して言えば決定的に人の話を聞くのが下手くそだ。
もっと詰めて言えば人の「興味」に興味を寄せるのが究極下手くそだ。
よく言われる。
「本当に土沼さんは人の話聞いてないですね。」
数えきれないほど言われ続けている。
お客様の話にはもちろん真剣に耳を傾けているつもりだけど
それも不得手な分野に集中し続けてようやく聞けているくらいなので
お客様以外は全て集中という緊張の糸がもう持たないのかもしれない。
だって器用じゃないんだもん。言ったじゃんね、最初に。
だからこそ(どんな言い訳)、一人で働くのではなく
みんな自分の得意なところで人の苦手なところをお互いサポートしていこうね
届け!この思い。
