「やっぱりもう少し短く」が美容師に与える影響のお話

美容室でよくある会話があります。

仕上がりを確認していただいて、

「いい感じです!」

とおっしゃっていただいた後に、

少し考えて、

「やっぱりもう少し短くできますか?」

もちろん、できます。

美容師ですから、できる限りご要望にはお応えしたいと思っています。

ただ今日は、その「もう少し」の裏側を少しだけお話しさせてください。

 

実は美容師にとって、「あと少し短くする」というのは、単純にハサミを入れるだけではありません。

特にショートやボブ、レイヤースタイルなどは、長さを変えると全体のバランスも変わります。

つまり一部分だけ切るのではなく、もう一度全体を見直し、整え直し、シルエットを作り直す作業になることも少なくありません。

お客様から見ると数分や少しの作業に見えても、美容師からすると20分、30分の再設計になることがあります。

もちろん、最初のカウンセリングでお聞きした内容と違う仕上がりになってしまった場合は話が別です。

それは私たちの責任です。

ご納得いただけるまで、何度でも調整します。

むしろ遠慮なく言っていただきたいと思っています。

 

でも、最初に決めた長さやデザインから途中で気持ちが変わった場合は、少しだけ事情が違います。

なぜなら、その追加の時間はどこかから生まれるわけではないからです。

全てのお客様には予定設計時間と言うモノがあり朝礼の時点で細かく1日のスケジュールをスタッフ間で共有しています。

次のお客様のご予約時間。

スタッフの休憩時間。

営業後の片付け時間。

実はそういった部分を少しずつ削りながら対応していることもあります。

だからといって、

「最初に決めたんだから変更しないでください」

と言いたいわけではありません。

髪型は実際に形になって初めてイメージが固まることもあります。

鏡を見て、

「あ、もう少し短い方が好きかも」

と思うことも当然あります。

それは決して悪いことではありません。

ただ、美容師側にもそんな背景があることを知っていただけると嬉しいです。

 

私たちがカウンセリングで何度も長さを確認したり、

「このくらいで大丈夫ですか?」

と途中でお聞きしたりするのは、慎重な性格だからではありません。

お客様の理想に近づけるためでもあり、完成してからの大きな方向転換を防ぐためでもあります。

家で例えるなら、完成した家を見て

「やっぱり玄関を少し右にずらせます?」

と言われるようなもの。

できなくはない。

でも結構な工事になります。

 

髪は一度切ると戻せません。

だから私たちは、切ることよりも「確認すること」にたくさんの時間を使っています。

もし迷いがある時は、

「本当はもう少し短いのも気になっている」

「まだ決めきれていない」

そんな一言をぜひ教えてください。

その方が美容師も色々な提案ができますし、お互いに納得できるゴールへたどり着きやすくなります。

 

美容室は髪を切る場所ですが、髪型を一緒に決めていく場所でもあります。

これからも遠慮なくご相談ください。

ただ時々でいいので、美容師が心の中で

「その一言、あと30分早く聞きたかったなぁ(笑)」

と思っていることだけは、そっと覚えておいていただけたら嬉しいです。